
■導入
世界で最も難しい学問の一つと言われるアインシュタインの「相対性理論」。しかし意外なことに、彼は相対性理論によってノーベル賞を受賞したわけではありません。もちろん、彼が提唱した理論が誤っていたわけではありません。その背景には、当時の科学界、そしてノーベル賞委員会の慎重な姿勢がありました。
■相対性理論はあまりに革新的すぎた
1905年に発表された特殊相対性理論、1915年に完成した一般相対性理論は、時間・空間・重力というそれまで「絶対」と考えられていた概念を根本から覆しました。
しかし当時の物理学者にとって、その内容はあまりに抽象的で、実験による直接的な証明が難しい理論だったのです。
ノーベル賞委員会は伝統的に「実験や観測によって確かめられた成果」を重視してきました。
そのため、どれほど革新的な内容であっても、検証が不十分だと判断された理論は評価されにくかったのです。
■実験で証明されても、なお慎重だった
1919年、皆既日食の観測によって「重力によって光が曲がる」という一般相対性理論の予言が実証されました。
それは世界的なニュースとなり、アインシュタインは一躍有名になります。それでもなお、ノーベル賞委員会は慎重でした。理論の重要性は認めつつも、「相対性理論そのもの」を受賞理由とすることはありませんでした。
■ノーベル賞受賞の理由は「光電効果」
1921年、アインシュタインはついにノーベル物理学賞を受賞します。
しかし、その理由は次のように記されています。
「理論物理学への貢献、特に光電効果の法則の発見に対して」
光電効果とは、光が金属に当たることで電子が飛び出す現象で、実験によって明確に確認出来るものでした。
つまり相対性理論はあまりに先進的すぎて、ノーベル賞の評価基準に合わなかったという実情だったのです。
■結び
現在、相対性理論はGPSや宇宙物理学など、私たちの生活や科学技術の基盤になっています。それでも当初は「難しすぎる」「検証できない」と距離を置かれていました。
アインシュタインの例は真に革新的な理論ほど、すぐには評価されないという科学史の象徴とも言えるでしょう。

