
■導入
電球を発明した人物といえば、多くの人がトーマス・エジソンを思い浮かべます。
現在の白熱電球に使われるフィラメントは主にタングステンという金属で出来ています。電球自体はエジソンが発明するよりも前にスワンという研究者が生成しました。ですが、その技術では電球は1分間も光続けられませんでした。これを実用化させたのがエジソンなのです!そして、その実用化のヒントになったのは竹と言われております。
■竹を使ったのは偶然ではない?
エジソンも研究を開始してすぐに、従来の研究者と同様に「フィラメントがすぐに燃えてしまう」という問題に直面しました。
当時の技術では、電気の内部を十分に抜くことが難しく、
少しでも酸素が残っているとフィラメントが高温で酸化し、すぐに切れてしまうのです。
そんな中、中国からのお土産として渡された扇子に使われた竹にエジソンは着目したと言われています。
■フィラメントとは?
フィラメントとは、電球の内部で発光の役割を担う“細い発熱線”のことです。
電流が流れると高温になり、その熱によって光を発します。
初期の電球では竹などを炭化させた炭素フィラメントが使われ、後により高温に耐えられるタングステンフィラメントへ進化しました。

フィラメントは電球の“心臓部”であり、
・どんな素材を使うか
・どれだけ均一に細く加工できるか
・どれだけ酸素のない環境を作れるか(真空の精度)
によって寿命や明るさが大きく変わります。
エジソンが成功した理由は、
① 高真空技術の確立
② 炭素化した竹という最適素材の発見
この二つを同時に達成した点にありました。
■なぜ「炭素体」である必要があったのか?
当時の電球は、フィラメントが均一に熱せられず、
一点が過熱して すぐに焼き切れる という課題がありました。
エジソンはこの問題を解決するため、竹を炭化させてフィラメントとして利用しました。
竹の繊維は均質でまっすぐのため、
- 抵抗値が安定しやすい
- 高温でも比較的強度が残りやすい
- 均一に細く加工しやすい
という特性がありました。
ここに 真空技術 が組み合わさることで、炭素フィラメントは「燃える」のではなく、「熱せられて光る」状態を長時間保てたのです。
(補足)
現代では専門素材である タングステン が使われ、その融点は金属最高クラスの3410℃。
竹の炭素フィラメントと比べても圧倒的な耐熱性を持ちます。
■現在の電球への活用
エジソンの電球の発明は、文明の大きな転換点になりました。
研究では、思わぬきっかけから成功への道が開けることが少なくありません。
エジソンが竹という身近な素材に可能性を見いだしたことも、まさにその好例です。
特別な材料ではなく、世界中どこにでもある植物に 光を生む可能性 を見つけた点に、彼の発明精神が宿っています。
その精神は現代の技術にも通じています。
LED や有機ELなど、新しい照明技術はすべて「現象を観察し、先入観を捨て、新しい価値を見つける」という姿勢の延長線上にあるのです。
エジソンの電球は、100年以上経った今でも「小さな気づきが大きな革新を生む」というメッセージを静かに語り続けています。

